子安運河1(横浜市神奈川区) F4

 

子安運河には10数年前に一度来たことがあります。運河沿いに軒を連ねる小さい船屋と係留する漁船群の佇まいなど、当時とほとんど変わっていないなと感じました。漁船の数がやや減ったようです。運河の東側には首都高速を挟んでオフィスビルが並んでいます。この日は京浜急行線神奈川新町駅で下車し、子安運河の南のはずれから北のはずれの入江川まで散策しました。途中でスケッチをする2組のグループを見かけました。子安運河は人気のスケッチポイントのようです。左は高速道路の橋脚の間から見た子安運河の一景です。

 

 

 

 

子安運河2     F4

 

ふじみ橋から見た子安運河北の船溜まりです。東に首都高速、北には高層マンションが林立しています。時の流れが止まったような町にも近代化の波がじわじわと押し寄せてきています。係留している船の中には甲板に小屋を建てた船もあります。古くなった船を作業場や倉庫として利用しているのかも知れません。右の絵の手前に見えるやや大きい小屋を持つ船を10数年前にも描いたことがあります。

 

 

 

子安運河3     F4

 

子安運河沿いに軒を連ねる小さい舟屋の用途はよく分かりませんが、老朽化した空き家が多いように見受けました。表側は道路に面し、母屋は道路の向かい側にあるようです。左のように洗濯物を干してある家もありました。子安運河の景観には、モノトーンが似つかわしい?のではないかと思い、セピアインクとセピア絵の具だけで描いてみました。

 

 

子安運河4    F4

 

子安運河の北のはずれに位置する入江川の眺めです。前方で運河に合流します。右側に外壁が錆びた旧い建物群が並んでいます。運河との合流点に岸から建物の中へ伸びるレールがありましたので造船所かも知れません。神奈川新町にあったという古い造船所を見つけられなかったので、この日最後にこの風景に出会えてラッキーでした。案内板によると、子安浜は江戸時代から漁業の栄えた所で、シャコやアナゴなど江戸前の魚の供給源として知られてきたそうです。盛期には漁船の数も多く造船所も繁盛したのでしょう。

 

 

 

 

 

子安運河5    F4

 

入江川の船溜まりを別のアングルから。壊れかけた古い建物や役割をおえたような旧型の漁船が、厳しい現実を象徴しているようでした。案内によると明治末に埋め立てられるまでは、東海道神奈川宿に近い子安浜には小さな漁村があり、松林のある砂浜もあったそうです。東京湾の埋め立てによって大きく変貌していった地域の縮図を見る思いがしました。この景色のすぐ右は車の往来の激しい第一京浜(国道15号線)です。