その他全国のみなと

 

 京浜・湘南、房総・茨城、伊豆半島以外の地域のみなとの風景です。伊豆半島を準首都圏とすれば首都圏・準首都圏を除く全国のみなとです。

  東北大震災の前年の秋でしたが、三陸海岸のスケッチ旅行を計画し、ホテルの予約も済ませていながら、都合で行けなくなったことがありました。三陸海岸の港町は大地震と大津波で壊滅的な被害を受けました。震災前に三陸旅行を実行できなかったことが悔やまれます。

 全国の港町を対象にしているためその数は膨大です。しかし、昔懐かしい面影の残る漁港など絵になる「みなと」は意外に少ないようです。健康の許す限り懐かしい「みなとの風景」を探しながら描き続けたいと考えております。

 

 

 日本の漁村

 

 日本には約6000の漁村があると言われます。漁業に従事する人々が住む集落が漁村ですが、漁港の数(伊豆半島のみなと参照)の2倍以上もあるのは、法律で認定された漁港が実数よりも少ないからでしょう。

 日本の漁村の特徴は、魚などを獲る漁場の近くに漁港があり、港を取り囲むように、あるいは港の周囲に平地がない場合、近接した場所に集落が形成されていることです。従って地形的に限られた狭い平地や傾斜地に住宅が密集していることが多いことです。

 裏山や段々畑など高い場所から俯瞰すると家の密集状態がよく分ります。都会とは全く異なる生活空間を想像することが出来、各戸の屋根の色や形が面白く絵を描く上でも魅力があります。路地裏を散策することもよくありますが、どこも掃除が行き届いていて紙くず一つ落ちていません。手入れされた鉢植えを飾る家もあり、各戸に漁具などを運ぶ手押し車を備えています。隣家と密接している分、近所付き合いが希薄になりがちな都会の暮らしとは真逆の生活が日々当たり前のように営まれているのでしょう。

 しかし、現状では全国平均をはるかに超える急激な高齢化と過疎化によって廃村の危機に晒されている漁村もあります。都会からの移住者募集などの対策に乗り出す自治体も増えつつあるようですが・・・。