懐古園三の門(長野県小諸市) F4

 

12月上旬、思い立って北国街道小諸宿と中山道沓掛宿を訪ねました。小諸城址懐古園は今回で3度目になりますが、三の門を描くのは初めてです。小諸城址には天守閣はなく苔むした石垣が残るだけです。島崎藤村の「千曲川旅情の歌」は小諸城址から千曲川の眺望を詠んだものとして有名です。懐古園には歌碑や藤村記念館があります。石垣と樹木の美しい公園ですが、もうすっかり初冬の装いでした。

   

 

 

佐原町並み1(千葉県香取市)  F4

 

小野川沿いに残る佐原の旧い街並みです。佐原は利根川を通じて江戸へ物資を船積みするための集積地として栄えた街です。今も小野川沿いや香取街道沿いに旧い建物が連なる町並みが残っています。重要伝統的建造物群保存地区に指定されながら現在も営業している商家が多いそうです。前方の橋は香取街道との交差点になり、この周辺が佐原の旧い町並みの核心部です。

 

 

佐原町並み2    F4

 

寛政12年(1800)創業の醤油醸造元「正上」です。店舗は天保3年(1832)、土蔵は明治元年(1868)の建築だそうです。現在は佃煮の製造販売が主業務になっているそうです。スケッチポイントを探しながら小野川沿いをゆっくり散策しましたが、かつて水運で栄えた町の名残か、雁木が随所に設けられています。しかし昔ながらの和船が係留されているのはここだけでした。景観のための演出だと分っていても、やはり絵になる景色です。

 

 

佐原町並み3    F4

 

小野川に近い香取街道の一景です。正面の赤レンガの建物は旧三菱銀行佐原支店。川崎銀行佐原支店として大正3年(1914)に建設され、現在は市の施設「三菱館」となりギャラリーとして利用されているそうです。右の蔵造りの商家や左の下見板張りの古民家との新旧・和洋のコントラストが面白いと思いました。

 

 

おはらい町(三重県伊勢市)  F4

 

おはらい町中心部の町並みです。中央の店は赤福本店です。赤福前を右折すると「おかげ横丁」という伊勢路の旧建築物を移築再現した商店街がありましたが、修景された時代劇の書き割りのようでした。おはらい町の中心街も道幅が広く、修復された建物が多いようです。この日も参道は参拝人でかなりの混雑でした。撮っておいた写真から修学旅行?の女学生たちを描き入れましたが漫画になってしまいました。

 

 

 

 

麻吉旅館      F4

 

伊勢参宮街道古市の麻吉旅館。古市はお伊勢参りの精進落としで栄えた町で、最盛期には遊郭やお茶屋が70軒もあったそうです。先の空襲で焼失したこともあり、古市で往時の面影を留めるのは麻吉旅館のみです。急斜面に積み上がる懸崖造りの建物は一番下から数えると6階建て?創業200年以上といわれる木造建築は登録有形文化財です。今も老舗旅館として営業しています。

    

尾道風景(広島県尾道市) F4

千光寺山ロープウェイの車窓から撮った写真から描きました。千光寺山への斜面は紅葉に彩られ、お寺と民家が混在する家並みの先には尾道水道と向島などの山並みが連なる尾道らしい景色です。三重の塔は尾道のランドマーク天寧寺海雲塔です。尾道へは初めてだったので、予めNetでスケッチポイントなど調べました。絵描きに人気の街だけあって画像情報は豊富ですが、地域が広く具体的に場所など特定するのが困難でした。尾道は坂の街なので坂道の景観に惹かれますが、脚力が衰えた身体では好ましい坂道を探して歩く自信がありません。結局、月並みですが尾道駅に置いてあった観光案内地図の「古寺めぐりコース(石畳)」を途中まで歩きました。このコースの核心部は千光寺山の山腹にある古寺を等高線で結ぶルートなので、何とか歩けそうに思われたからです。有名な坂道の一部もルートに入っているし、尾道の坂道はみな千光寺山の頂を目指しているためそれらの坂道を横切る際に上下の景観も確かめられると考えたからです。実際には細い坂道が縦横に入り組んでいて、それらを隈なく見て回るのは1日2日ではとても無理だということが分りました。僅か1日だけの旅でしたが昔から多くの文人墨客に愛された尾道の魅力の一端に触れることが出来たように思います。

 

 

尾道の坂道1   28X32cm

 

千光寺から真っ直ぐ伸びる坂道(千光寺道?)を降りてきたらこの踏切がありました。JR山陽本線の踏切です。踏切は好きなモチーフの一つですが、その上に旧い木造家屋、石垣、石段坂など贅沢な構図です。この階段の上にも長い階段が続きますが、漆喰が剝がれてしまった土塀や木造家屋群などもあり魅力のある坂道です。坂の右側(東側)は天寧寺境内です。この絵の後方にも階段がありますが、このあたりは尾道駅に向かって線路も緩やかに下降しています。

 

 

 

 

 

尾道の坂道2     F4

 

尾道駅で入手した観光案内地図を頼りに「古寺めぐりコース(石畳)」を歩いている途中で出会った坂道の一つです。海福寺と一宮神社の間のT字路ではなかったかと思われます。何でもない坂道ですが好きな構図です。すぐ先に山陽本線の線路が見えました。標高が低いため、尾道水道はビルの陰になって見えません。向島の山並みだけがビルの屋根越しに僅かに見えます。もう少し上がると、町並みの先に尾道水道と向島のドックなどが見える尾道らしい風景になるのですが。

 

 

 

 

尾道の坂道3     F4

 

天寧寺三重塔からロープウェイの駅へ下る階段坂です。右は天寧寺の境内だと思われますが、左の白塀は寺院なのか民家なのか定かではありません。生活感が希薄なのはこのあたり一帯が天寧寺管内なのかも知れません。非常に綺麗な坂道なので何枚も写真を撮りました。「古寺めぐりコース(石畳)」の途中ですが、このコースは道幅にかかわらず、ずっと半円形の波模様?の石畳が続いていて、同じ模様の石畳を辿れば迷うこともなく、道標がいらないくらいでした。

 

 

 

尾道ガウディハウス    F4

 

和泉家別邸、通称尾道ガウディハウスです。尾道駅から近いので、この日最初に訪ねました。和洋折衷の特異な建築様式から、早くからガウディハウスと呼ばれていたそうです。和館部と洋館部に分かれていて、これは和館部です。狭い斜面地を利用して外観だけでなく内部も非常に凝った作りになっているそうです。玄関の前に鳥居のように見えるのは扉が無くなった門だとか。25年間空き家だったのを、NPO法人尾道空き家再生プロジェクトが修復し利用しているそうです。左手の洋館部はシートで囲われていて修復工事中でした。装飾的な屋根瓦や下見板張りの外壁の線を強調したかったので、普段はあまり使わない黒インクを使ってみました。